宮崎大学新学部、地域資源創成学部の当温泉施設での講義が朝日新聞(6/17)に掲載れました

当温泉施設で、宮崎大学地域資源創生学部のみなさんへの講義の模様が、6月17日版の朝日新聞に掲載れました。

朝日新聞(宮崎版:6/17)掲載記事

宮崎大に新学部誕生 地域のリーダー育成目指す

 黒木支配人の話を聴く学生たち=宮崎市加江田の市自然休養村センター


黒木支配人の話を聴く学生たち=宮崎市加江田の市自然休養村センター

 宮崎大は今春、地域資源創成学部(地域学部)を新設した。少子高齢化や雇用の確保など地域が抱えるさまざま課題と向き合い、地域のリーダーになれる即戦力を育てる学部だ。外部から講師を招き、自ら地域に出て「象牙の塔」にこもらない学問を実践する。
 6月3日。宮崎市加江田の温泉施設「市自然休養村センター」の2階大広間で、地域学部の1期生約30人がセンターの黒木幹夫支配人の話に耳を傾けた。
 センターは指定管理者制度にもとづき、黒木さんが代表を務める「木花・青島活性化プロジェクトJV」が経営する。きめ細かなクレーム対応や徹底した清掃消毒などの改善を続け、2007年の指定管理者制度導入前と比べて、来客者を約3倍に増やした。
 黒木さんは「何かをやり遂げようと思ったら、決心することです」と語りかけた。地域学部の根岸裕孝准教授は「運営の仕方でこんなにも愛される施設に変わる。マネジメントの力を感じることができた」と学生に話した。
 4月には県中小企業家同友会代表理事で日向中島鉄工所社長の島原俊英さん(53)を招いた。島原さんは自社で野菜工場設立やロボット開発に取り組んだ事例を紹介し、「視野は高く世界に置きながら、地域の課題に挑んで宮崎から世界に発信する学部であってほしい」と語った。
 その後、学生らはグループに分かれて、感想や今後の学生生活について討論。「成功の反対は挑戦しないことという言葉が印象に残った」「4年間で宮崎のいろんな所を回り、良い所を見つけてアピールできる力を身につけたい」などの意見が出た。
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 地域学部は経営学を軸に文系、理系の枠を超え、法学、社会学、農学、工学、実践的な英語などを学ぶ。2年次後半からは「地域産業創出」、「地域創造」、「企業マネジメント」の3コースに分かれる。進路は民間や自治体の幹部候補、事業承継者、起業家などを想定。学部内に就職活動支援チームを設置し、7月末に第1回の進路希望を学生にアンケートする。その後も半年に1回ほどフォローし、サポートする。
 教員24人のうち16人は公募で採用した企業や行政の実務経験者。

学部長には経産官僚として地域振興に関わった吉田雅彦さん(54)が就いた。根岸准教授は「(フィールドワークを)1年生でやるのがポイント。現場は生きた教材」。
 地域の人と対話し、一緒に課題の解決を考えることをめざしている。「宮大は正直、地域と向き合ってこなかった。地域社会の一員として何ができるか。ウィンウィンの関係を築きたい」。
 新入生は96人(定員90人)。1期生は県内出身が74%を占め、9割以上が九州出身者だ。宮崎市出身の長津太一さん(18)は、祖父が農家。6次産業化に興味があり、この学部を選んだ。「実際の現場に出たり、プレゼンテーションをしたりする機会が多い。社会に出てから通用する力がどんどん身についている」
 サーフィンが趣味の竹田卓生(とい)さん(18)も宮崎市出身。サーフィンを続けるためにも、地元での就職を希望している。「宮崎に残るなら宮崎のためになることを勉強したかった」。日向市出身の田中美響(みこと)さん(18)は高校時代、地元の魅力をPRする活動に取り組んだことをきっかけに地域学部に興味を持った。「地域の魅力を広めて活性化する役目を担えるよう、大学で力をつけたい」(伊藤秀樹)